施設概要

取水・浄水施設

取水施設(取水能力は、1日に最大20,000m³)

 位置は、将来的に水質の汚染を受ける恐れが少なく、良好な水質が得られることと、取水地点の琴川右岸は、地形が緩やかであり、施設の設置に適していることから、杣口浄水場より北側約320mの場所に決定し、自然に流れる力だけで取水することができるので、環境への負荷軽減にもつながる仕組みである。

取水堰
川幅13mほどの渓流になり急流でもあるため、転石や砂礫などの衝突による破損や亀裂を最小限抑えるためコンクリート構造をとり、粗石の水路とプールを配置した魚道を取り入れ、生物にも配慮した構造である。
取水口
山間部にあるため、操作や除塵が不要で故障がなく、流下する土砂に対して耐久性があり安定して取水ができ、尚かつ経済的であることを考慮したバースクリーン後方取水式(渓流取水固定式)を採用。
沈砂池
後続の浄水処理が、より効果的に行なえるように粗い砂やゴミを取り除く池。

導水施設

導水トンネル
馬蹄型の山岳トンネル方式をとり、取水場と浄水場の間を地下で結び、自然の力で流れる仕組みになっている。開水路ではないため、外部からの汚染防止および降雪や結氷を防ぐことができ、安定した原水を浄水場へ供給することが出来る。

浄水施設(浄水能力は、1日に最大19,000m³)

 標高約810mに位置しており、完全密閉式の構造であるため、水槽内における藻類の発生防止、落葉の飛来防止、および冬季の凍結・雪害の防止など安定した運転管理を行うことができ、沈降装置・ろ過装置の劣化防止など設備の維持管理の面でも高い信頼性が確保されている。

着水井
原水の動揺を抑え、後続で行なう一連の浄水処理を正確に行なうため、原水の水量や水質など計測する。排水池よりろ過砂洗浄排水の上澄水を受け入れる。
粉末活性炭接触池(高度処理施設)
通常の浄水処理で除去できない異臭味原因物質やその他の有機物等を除去するため粉末活性炭(ドライ炭)で吸着させる。
薬品混和池
沈澱及びろ過の効果を高めるために、凝集剤とpH調整剤を使用し、病原生物の対策として塩素剤を注入し、急速に攪拌して混和させる。
 ・凝 集 剤:ポリ塩化アルミニウム(PAC)
 ・pH調整剤:液体苛性ソーダ(NaOH)
 ・消 毒 剤:次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)
フロック形成池
薬品と水中のにごりなど小さな不純物を緩速撹拌機(フロキュレータ―)でゆっくり混ぜ合わせて、フロック(固まり)を大きくする。
薬品沈澱池
水よりも重くなったフロックを沈めて除去する。沈降速度を高め、より効果的に沈澱除去するため傾斜板を設置してある。
急速ろ過池
原水中の重力沈降しないフロックを、砂などのろ材に付着させ、比較的速い速度でろ層を通し、除去する。
浄水池
浄水池は、きれいにした水を貯めると同時に、ろ過水量と送水量との間の不均衡を調節緩和する目的と、事故や故障時の対応と、水源・水質異常時における水質変動への対応と、施設の点検や保全作業等に備えて浄水を貯留する池で最終の施設になる。尚、水質の劣化を防ぐため地中に設置されている。
(鉄筋コンクリート構造 2池 水槽容量2,480m³)

排水処理施設

排水池
急速ろ過池の洗浄排水を受け入れ、着水井へ返送し、再度浄水処理を行なう。
濃縮槽
薬品沈澱池で沈降除去したフロックは、泥状の物質でスラッジと呼ばれ、これを受け入れ、更に沈降濃縮させる機能をもち、上澄水は排水池へ返送する。
天日乾燥床
濃縮されて含水率の低下したスラッジを投入し、蒸発により自然乾燥させる。床下部には、砂ろ過の原理を応用し、ろ過層と集水管を組合せ、脱水効果をさらに高める。

常用受変電動力設備

 6,600V    1回線受電
 1,100KVA

非常用自家発電設備

ガスタービン、交流発電機などの非常用電力設備
 定格出力    375KVA 電圧6600V
 周波数     50Hz

中央監視制御設備

 浄水場内の水処理工程や場外施設の送水が、安定して安全に運転がなされているか、また、効率的かつ合理的に運営管理が行えるように各種計測量などの情報を、目的や用途によって整理統合されており、限られた人員で迅速、確実に運転操作が出来る仕組みになっている。また、設備及び機器の故障状況を把握し良好な水運用が出来るように優れた機能性で構成されている。
 大型スクリーン 背面投射型プロジェクタ 1台(2面構成)
 LCD操作端末             5台
 監視用カメラモニタ           1台

水質監視・検査設備

水質試験室
原水水質の把握、浄水処理工程の適正な運用を目的とし、時々刻々と変化する原水水質に対応するべく、水質試験室には水質試験に必要な検査設備・試薬が整備されている。
水質発信機室
水質管理及び水質監視体制の強化を図るために、浄水処理工程で採水箇所を数箇所設置して、採水した処理水の水質を自動水質計器で監視し、浄水処理工程での運転管理を効果的に行うための設備が整備されている。
魚類による水質監視用水槽
定期的な水質検査や自動水質計器で検知できない水質の異変を早期に発見するための設備で、原水を導いた水槽に、魚類を飼育し魚の異常な行動から水質異常の有無を察知し、不測の水質事故等に対応することが目的となる。

薬品注入設備

凝集剤(PAC)注入設備(注入点 1箇所)
原水中の懸濁物をフロックの形に凝集させ、沈澱しやすく、ろ過池での捕捉を容易にするため、ポリ塩化アルミニウムを注入。
次亜塩素注入設備     (注入点 3箇所)
衛生的で安全な水道水にするために消毒剤として使用している。次亜塩素酸ナトリウムを注入。
苛性ソーダ注入設備    (注入点 2箇所)
pH調整剤として凝集効率を高めるために使用する。アルカリ剤として苛性ソーダを注入。

送水施設

減圧施設

 自然流下で送水する時、減圧槽または設置してある流入調節弁(減圧弁)により流入圧力を適正化している。災害や事故などで送水停止時には、各受水点へ送水する水量の6時間から12時間分の貯水容量を確保する役割も兼ね備える。なお、流入圧力を有効利用するため小水力発電設備(山梨県企業局管理)を2箇所設置している。

増圧ポンプ場

 一部送水区域の不足圧力を補うため、一時的に貯留する水槽(5箇所)を設置している。災害や事故などで送水停止時には、受水点等へ送水する水量の6時間から12時間分の貯水容量を確保する役割も兼ね備える。

送水管路

 管 種 : ダクタイル鋳鉄管(高水圧0.75MPa〜1.6MPa対応の特殊品)
 特 徴 : 強度が大きく、耐久性があり衝撃に強い
 口 径 : Φ150mm〜Φ400mm
 総延長 : 約66km(東ルートと西ルートの合計)
 標高差 : 杣口浄水場が約820mあり最低部で約270m。

河川横断

 県又は市が管理する道路橋に添架をした水管橋、単独水管橋、河川床下を通過する推進管などで横断している。

追加塩素注入設備

 送水管路途中又は末端での残留塩素濃度を保つため、追加で次亜塩素酸ナトリウムを注入する設備(場外送水施設4箇所に設置)

各受水点流量計室

 各市の配水池へ流入する直前に設置し、配水池の水位を計測し、流入量の制御を行う。また残留塩素計で残留塩素濃度を計測する。

山梨市 6箇所  受水流量合計6,200m³/日
笛吹市 4箇所  受水流量合計7,200m³/日
甲州市 6箇所  受水流量合計5,600m³/日